Mちゃんは、入園当初、ずっと、手提げ袋が手放せないでいました。遊びへ目が向くことも出来ず、玄関先の巧技台のラックに登っている毎日でした。ひと月半ほどたったころから、ブランコや乗り物へ足を向けていくようになって来ました。関わってくれる先生に向ける表情もとても柔らかです。
そんな中で、手放せなかった袋も、すっかり忘れていることもあるほどの存在になってきました。
そんなMちゃんと、玄関先で、楽しみに遊びにいこうと片づけをしてやってきました。ですが、手には手提げ袋を持っていました。外に遊びに行きたい、遊びたいことがあるというふうになってきているMちゃんに、手提げ袋は必要ありません。
そこで、一つ試してみることにしました。『袋を片づけてから、遊びに行こう』と声をかけます。案の定、玄関先で、ひっくり返ります。“あそびにいかせて!”というのがMちゃんの思いです。他の子が遊びに行くのを横目でみながら、怒り続けます。どのくらいたったでしょう?少しずつ落ちついてきました。でも、まだまだ怒っています。部屋まで片づけるのは距離があります。気持ちを整理して気持ちを持ち続けるには長いので、玄関にあった箱を差し出します。「おかたづけして、あそびにいこうね」とことばをかけると、自分で箱に入れてくれました。
“あそびたい”という思いと“かたづけてからあそぼう”という先生の声を頭の中で、整理して気持ちと行動を自分で切り替えていきました。
気持ちを切り替えて、遊びに出たのだから、ここで先生たちはしっかりと遊びに付き合います。このあそびに付き合うことで、“もっともっと遊びたい”という気持ちを高めていきますし、気持ちを切り替えていく力にもなっていきます。
Mちゃんにとっては、自分で決める力が大切なんです。