新年度がスタートして2ヶ月が経ちました。
登園してくると、職員の顔をじっと見つめて、何かを確かめているようだったり、かたや、すっかり慣れて、あいさつもそこそこに、玄関から一目散に教室に向かったりと、子どもたちの姿は様々ですが、それぞれにあしび園への見通しを少しずつ持ち始めているようです。
今回は、先月の活動トンネル遊び・クッキングを紹介します。
教室に先生たちが作った手作りトンネルが出ると、みんな興味深々で近寄ってきます。
さっそく、一番に入り、顔をのぞかせたTくんにこちょこちょこちょ~!
様子をうかがっていたYちゃんやSちゃんも、「おもしろいのかなあ?」「ちょっと気になるなあ」という感じで、穴からのぞき込んだり、見よう見まねで顔を出してみたり。
安心できる場所で、自分のペースで踏み出して、確かめて、少しずつ安心できる人たちとのやりとりに期待して、何度も繰り返すようになっていきます。
トンネルの中にも先生たちの仕掛けが色々あって、貼ってある絵にタッチしたり、窓から顔を出して、大人たちとのやりとりを楽しんだりすることができます。
また、トンネルの大きさや高さなどにも変化があって、興味をそそるだけでなく、姿勢を変えたり、動きを調整する必要があります。
身体をしっかり使いながら、心もワクワク弾ませてくれる、楽しい遊びの一つです。
クッキングは、ホットケーキとフルーツヨーグルトでした。
毎月行うクッキングの時間を楽しみにエプロンを用意している子どもたちも増えてきました。
ホットケーキは、おうちから好きな具材を持参してのオリジナルです。
フライ返しにチャレンジしたHちゃん。お母さんと一緒にそーっとそーっと。
食べる時間もうれしい時間です。
Yくんは、フォークを持たず、食べさせてもらうのを待っていました。「自分でフォークを持つのを嫌がるんです。どうしたらいいでしょうか。」と悩まれていたお母さんに担任がコツを伝えると、自分で食べ始めました。
コツというのは、大好きなウインナーを見えるように刺しておくこと。
大好きだからこその安心感が、食べてみようというきっかけになったようです。
この日を境に、家でも自分で食べられるようになったんですって!
フルーツヨーグルトでは、先生が切ってくれたバナナとコーンフレークをトッピングしました。
子どもたちも、興味津々でよく見ていました。
ヨーグルトが苦手で食べたことがないKくんですが、自分から食べ始めて、お母さんもビックリ!?
その後、家でも出してみると…
ヨーグルトだけでは食べなかったようですが、あしび園でしたのと同じようにコーンフレークをのせると食べることが出来たようです。
楽しかった、おいしかったという経験が、場所を変えてもできる力を引き出してくれたようです。
👒あしび日和👒
療育をしていると、あそびや活動の中で、子どもたちが悩んだり、考えたりする姿によく出会います。それは、子どもなりにちゃんと意図をもっているからこその姿です。
今回ご紹介した遊びの中で、トンネルにすぐさま入ったT君にも、少し様子を見ていたYちゃんやSちゃんにも、それぞれ意図があるのです。意図というのは、「こうしよう」という目的です。「入ってみよう」とか、「ちょっと様子をみてみよう」とか。どちらも、子どもなりに考えることや思うことがあって、意識的にしていることのように見えます。動きが多くて、刺激に気を取られやすい子は、衝動的に動いているように見えてしまうかもしれませんが、短い時間の中でも、「あれ?」「なんだ?」「確かめてみよう」などと思って動いているのではないかと思うのです。そんなふうに、子どもの姿を捉えてみると、こちらの言葉のかけ方も違ってくるのではないでしょうか。
自分で食べようとしなかったY君は、先生が大好きなウインナーを見せてくれたことで、それに背中を押されるようにフォークで刺して食べることができました。ヨーグルトを前に少したじろいだK君も、あしび園でしたのと同じように、お母さんがコーンフレークをかけてあげると食べられました。そこには、大人の自分で食べてほしい、おうちでも食べてほしいという意図もあるのですが、一方的にそれをぶつけるのではなく、大好きなウインナーを見せたり、見覚えのあるコーンフレークをかけてみたりすることで、子どもも歩み寄ることができたのではないでしょうか。先生とお母さんの実践は、どちらも、子どもの心をちゃんと捉えていたということになりますね。
大人が意図をもつように、子どもにだってそれはあります。
慌ただしい毎日の中でも、私たちは、子どもの意図が何なのか?子どものねがいや悩みはどこにあるのか?と、思いを寄せてみる「間」を持つことを忘れずにいたいものですね。 (園長)