つくしさんの『さるかに合戦』
舞台での練習が始まったころから、はち役のKちゃんは、奮い立っていました。
練習前に「”くさむらにかくれよう”って言うんだ!」と口にしていました。
練習でセリフが聞こえた日には、「くさむらにかくれようって、よう聞こえたよ」と伝えていました。
段々と自信を持つようになってくると、今度は、余裕が出てきます。
はちの針を左右に動かすのですが、針の先の向きを変えようと思うと、体の向きも変えてしまうので、正面を向くときと後ろを向く時がでてきていました。持ち帰るとうまくいくのにとみんなが思っていたんです。
それがそれが、余裕が出てきたころから、はちの針を持ち替えて、針の先だけ左右に向くようにしていました。Kくんは自分の”こうあったらいいな”という目標を自分でもって、取り組んでいるんですよね。すごいことです。
さらにさらに、他のクラスの練習を見ているときに、「Tくん、大きな声で言っとるねぇ」と声をかけます。すると、聞こえた時には「大きい声がきこえた」と伝えてきます。
Kくんがセリフを言うのが、どんな風に見えているのかに気づかせるためです。大きな声でセリフを言うっていうのは、こんなふうに聞こえているんだと実感してもらうためです。
自分も、こんな大きさの声か!聞こえないときってこうか!と自分を振り返ることで、次のときに活かすきっかけになっていきます。
マイクで言えば、もっと聞こえるんです。でも、Kくん、マイクなんて使わなくても、自分でたてた目標に向かって努力してるんです。
なので、みなさん、その努力を耳を澄ませて、聞いてあげてくださいね。