園長になると、どうしても子どもたちにかかわる時間は減ってしまいます。なので、関われる時間は大切な時間だと思っています。
給食の時間は、すみれ組で過ごすことが多いのですが、だいたい決まった子どもたちと一緒に食べています。先日、一緒に食べていたRくん。にたぁとした笑顔と時折出す大きな声が何とも言えません。まだまだ、動きもしっかりとしているわけではありません。なので、移動することも自由にはいきませんし、やりたいことが定まっているわけではありません。道具やおもちゃを使うのもまだ、ピンときません。入園前に会った時も、手にしたものはポイポイと投げていたのが印象的でした。
そんなRくんが、ごはんの時にスプーンをしっかりともち、一生懸命すくおうとして、口に運んでいるんです。食べることへの意欲をすごく感じます。うまくいかないと、スプーンをお皿や机に打ち付けたりするので、散らかったりお皿がひっくり返ったりと大変なことになってしまいます。
子どもたちにとって草笛学園は、なんとなく居心地がよく、楽しいことがある場所だと感じ取ってくれていると思っています。このなんとなくというのは大事なんです。気持ちが落ち着く(情緒が安定する)基盤があるということです。でも、それに加えて、子ども一人ひとりの楽しみを作ること、増やすことが必要になってきます。どの子にも、「今日、くさぶえで、〇〇したんよ!」と思えるものを積み重ねていきたいという思いで日々の取り組みがあるわけです。
なので、Rくんにとっては、この給食の時間が、くさぶえにきて、今日よかったなぁと感じることのできる場面だと思っています。食べることが楽しみで、自分で食べたいと思えて、そして、食べられて満足できる。よかったなぁ、おいしかったなぁと先生が喜びをわかってくれるそんな積み重ねが大切なんだと思っています。だから、Rくんがご飯をすくう(スプーンをもった)手を支えます。食べさせればいいのではなく、自分ですくって食べようと思うタイミングで手を支えておきます。食べさせられているのではなく、あくまで自分ですくって口に運べたという実感につなげます。自力でうまく運べることもあるのですが、まだまだ、たまたまなんです。うまくいかないことが多くなると、スプーンは打ち付けるものに変わってしまうので、できるだけ、うまくいったと思える気持ちを大きくしてあげることが大切な時期です。一人で食べようとすることも大切に!うまく食べられたことも大切に!を、いい塩梅で支えています。
子どもたちにとって、草笛学園にいる6時間という生活の中で、フルに個々の取り組みができるわけでもありませんし、フルに取り組んでは、疲れてしまいます。だから、それぞれの子どもたちにとって、ここぞという取り組みの内容や時間を大切にしていきたいと思っています。
(玄関の七夕)