新学期が始まった日。
今まで草笛の生活をにぎやかにしていた卒園児はもういません。
子どもたちは、何か足りないと感じながらも、新しい生活に期待もしています。
玄関先で、先生たちの「おはよう」という挨拶に、笑顔をむけてきます。
そのあとの下駄箱では、今まであった自分の位置に、違うマークが貼ってあります。クラスが変わったので、当然のことですが、子どもたちにとっては、当然ではありません。
そこで、子どもたちはいろいろな姿を見せてくれます。
ある子は、今までと同じ位置に何もなかったかのように靴をおさめています。でも、ちゃんと靴を片づけるのは、分かっているということですよね。今度は自分のマークを意識しておさめられると靴だけでなく、いろんなことで、自分の位置や自分のものを知るようになっていきます。
ある子は、今までの位置のマークが違うことで、たたずんでいたり、靴をしまうのをやめてしまったり、違うと先生に訴えに来たりします。どうやら、自分のマークと靴箱の位置は分かっていいるようです。ですが、自分のマークは分かっていてもどこにあるのか探すということにはつながっていません。つながっていなくても、分かっているマークを手掛かりに「〇〇くんのマークはどこにあるかな?」と声をかけると、探しだして、満足そうにしまっています。入れるのが分からず困ったことで、入れるのをあきらめた子は、入れようと思ったのに気持ちが長続きしないだけなんです。なので、困っていても入れたいのにと思っている間に、「どこに、入れるところあるかな?」と、なんとなく、そのあたりに指をさしたり、身体を向けたり近づけたりすると、自分のマークが目に入り、気づいて入れてくれます。困って思考停止している子は、SOSが出せません。つい、大人が「ここよ」と教えたくなってしまいますが、それでは靴を入れることが叶えば「よし」ということになりかねません。「どうしたの?」と声をかけると、その子の「困ってるんだ!」「教えてほしいんだけど!」というSOSを伝える機会を作ることになります。
新しい靴箱・新しいお部屋・新しいクラスの先生・お友だちとの出会いの中で、こどもたちはいろんなことを感じ、新しいことを知り、子ども自身のことを知っていきます。
そうして、またまた、大きくなっていきます!