先日、歯科検診を受けていなかった子供たち5人を連れて、歯医者さんにいってきました。すみれさん2人、つくしさん1人、れんげさん2人。朝から先生たちが歯医者に行くことを伝えていました。子どもたちの中には自分から「歯医者さんいく」と言っている子思いるのですが、どこまでわかっているのやら???ごはんを食べ終わり、車に乗り込む時点で、大泣きのHくん。当然の姿です。車に乗ってるんるんのSくん。絵本をもって満足そうなTくん。はてなの表情のAちゃん。歯医者に行くんだと言い聞かせてるRくん。5人5色でおもしろい!
とはいえ、歯医者に到着すると、5人はバラバラの動きをするので、大変です。泣く、動く、外へ出る、物を触るという状況の中で、どうしたらいいでしょう?泣いている子は、不安な状況の中では、何を言っても何をしても不安は収まりません。なので、しばらくはそっとしておきます。その気でいてくれる子から受診をしてもらいます。歯医者さんで怖いのは、まず寝転ぶところです。姿勢が変わるというのは自分がどうなるのか予測ができないので、怖いのです。だから、この寝転ぶところで丁寧に声をかけ、身体を支えて横たわせ、しばらく、顔が見える位置にいるようにします。大丈夫だと思えると、他の子にも目と声を向け、次の子のその気をつくっていきます。はてなでいる表情の子に、受けている様子を見るように促します。次に自分のことを見せておきます。短時間ですので、その状況をのみこむことはできません。なので、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」ということばと、園長の顔で、呪文をかけます。きっと、わからないまま終わってしまったと思います。扉から出ている子と泣いている子、どちらを先にしようかな?泣いている子は、まだまだ、状況が分からないので、一瞬で終わらせるのが一番。なので、さっと抱きかかえ、さっと寝かせて、さっと診てもらい、終わりです。あとは、車に連れて行ってもらえれば、不安環境がちょっと解消です。そして、最後は、扉から出ている子。何をするのか分かって言い聞かせているので、あとは、覚悟の問題なんですが、説得をするような状況でもありません。「ドキドキするんよなぁ」と鼓動の音を感じ、ことばにしながら、後押しをします。ドキドキしているけど診てもらいに来てるんよという本人の揺らぎの思いを長く引っ張らずに「よし診てもらおう」と診察椅子に寝かせてしまいます。泣きながらも口を開け、見てもらい、「おしまい」「かえる」と唱えています。でも、あっという間に終わってしまいました。
終わってしまえば、ホッとした気持ちが大きいと思いきや、ドキドキだったことを押さえられない気持ちの方が大きいのです。だから、大きな声を出したり何かにあたったり、次にすることに向かえなかったりしやすいんです。他の子でもよく見られる姿です。「ドキドキしたんよなぁ…」「無事に終わったなぁ」ということばを添えます。不安もある。それでも、大丈夫だったという結果を言葉にして伝えるんです。そこで、どう気持ちを自分自身でしていくのかが大切です。車が園に到着して、みんなは教室へ向かいましたが、その子だけは、「いかない」と降りようとしません。整理がまだついていないんです。「車、片づけるから一緒についてきて」とお願いすると、「うん」と答えてくれました。「どきどきしたなぁ」と声をかけると、「泣いたんよ。お母さん、おって泣いたんよ」と前々日の親子リズムでの話をしてくれました。ドキドキしたことを今だけのことでなく、いろんな場面で起きていることを振り返りながら、気持ちを整理していくのが数分のやりとりで感じられる場面でした。その後は、意気揚々と「はいしゃさん、いった」と教室に戻っていきました。
気持ちの整理に支えが大切なんですね。